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2012年の記事一覧

2012 年12 月26 日 環境と健康に害をもたらすファストファッション

「ファストファッション」という言葉をご存知でしょうか。十年ほど前から使われるようになった言葉で、2009年には新語・流行語大賞のトップテンに選ばれています。Fast Fashionという言葉が示す通り、最新の流行服を低価格かつ短いサイクルで大量生産し、販売することをいいます。ヨーロッパではH&Mが有名です。

 

安価で、かつ最新の流行を取り入れたデザイン性のある服は、不景気の現代社会を生きる若者にとっては非常にありがたい存在です。しかし流行は常に変わり続けるもので、昨年の夏に流行していた服は、翌年には流行遅れとされてしまいます。流行を追い続けるためには、常に新しい流行の服を買い求め、古いものを片端から捨てるしかありません。そのために尚更、お手頃な値段の流行服が重宝される傾向にあるのでしょう。

 

安物には、安い理由があります。ファストファッションという名の大量生産品は、環境と人間の健康を損ねる危険性を孕んでいるのです。

 

そもそも服には何百もの化学物質が含まれています。着色料、触媒、漂白剤……。型を保ち、シワになりにくく、ツヤがあり、カビの生えない服を生産するために、大量の化学物質が使用されているのです。その中には、シックハウス症候群の原因物質として代表的なホルムアルデヒドも含まれています。

 

化学物質の塊ともいえる洋服を生産する工場では、すでに労働者の健康被害が報告されています。たとえば着古したような外観のあるヴィンテージ・ジーンズが人気ですが、その加工のために研磨材から飛散した石英を労働者が吸い込み、肺が侵されてしまいます。ヨーロッパやアメリカでは既に激しい批判が起こり、H&Mやリーバイスでは、その技術を自主的に禁止する措置を取るようになりました。またパキスタンにある紡績工場では、今年9月に発生した火災により250人の労働者が死亡しています。火傷だけが死因だけではないでしょう。こうした紡績工場の労働者は、低い賃金と低い安全性という最悪の労働条件下で働いているのです。

 

ファストファッションによる環境破壊も問題です。流行を常に追い続け、新しい服を買い求めるために、流行遅れの服が次々と捨てられていきます。ヨーロッパでは年間一人当たり平均20キログラム、アメリカでは35キログラムの繊維が消費されているのです。古い服が次々と捨てられる一方で、新しい服を生産するために綿花が使用されますが、その消費量は1990年では3800万トンだったのが、2000年には5000万トン、今年2012年には7500万トンだったといいます。こうした繊維の半分は、服に使用されているのです。服は綿花繊維とポリメールから作られています。大量生産による綿花の不足が指摘されており、来年には綿花が不足し始めると言われています。加えてポリメールの原料である石油もまた無限の資源ではありません。

 

ファストファッションの最大の問題は、人間への健康被害でしょう。服に含まれる化学物質は、アトピー、アレルギー、化学物質過敏症を引き起こします。また出産率の低下、神経系の影響も指摘されています。アゾ染料など、ガンとの関連が疑われている化学物質もあります。欧州連合加盟国ではすでに、ホルムアルデヒドや有機スズ化合物などの使用が禁止されています。ドイツ製の衣服には、こうした危険物質を含む服が生産されることはほとんどないそうです。しかしEUに加盟していない国々、とりわけ中国やインドからの大量生産品までを規制することは難しく、輸入服に危険な着色料が含まれている可能性も少なくはありません。そのためEUでは、RAPEXという警告システムを確立しました。RAPEXとは、Rapid Exchange of Information System(情報システムの迅速な交換)の略。EU加盟国は輸入服の検査を行い、禁止物質や危険化学物質が多く検出された場合、他の加盟国に情報を与えるとシステムです。必要とあれば、危険な製品を送り返すこともあります。

 

実際問題、ドイツの全アレルギー患者のうち服を原因として発症している患者は2%以下だそうです。服を頻繁に新しいものと交換していると、服に有害物質が濃縮されている可能性もありますので、発症の利クスは高まります。3回から10回服を洗っていれば、服に残っている化学物質は消えるそうです。

 

ファストファッションによる健康被害を回避するためには、これからは「エコモード」を重視しなくてはならないでしょう。最低でも一シーズン以上は長持ちする服が求められます。ドイツには、品質保証ラベルの貼られた商品が時折販売されています。また数は少ないですが、これらは環境に優しく、高い社会基準を達成し、有害物質を含まないものです。

 

また、オランダにはRepair Caféと呼ばれるイベントがあります。人々が古くなった服や物を持ち寄って、開催者の手助けを受けながら壊れたものを修復して行くのです。またYou Tubeでは、ファスナーやボタンの修復する様子を撮影した動画がアップロードされるなど、互いに情報交換する場が設けられています。

 

紡績業を取り扱う企業でも、リサイクルに動き始めています。例えば、スポーツ&アウトドア・ウェア製造業者の中には、ペットボトルから作り出されたジャケットやリュックサックを取扱い始めているとこもあるそうです。

 

古くなったもの、壊れたものを修復して使い続けることは、ゴミだけでなく、その中に含まれる化学物質から受ける悪影響のリスクを減らすことに繋がります。日本でも大量生産の安価な服が好まれる傾向にありますが、その危険性を一人でも自覚し、エコモードの意識に目覚めることを望んでおります。

 

参考資料
„Nachhaltige Kleidung – Unsere zweite Haut“、Zeit紙2012年12月25日掲載

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2012 年12 月21 日 住宅改装補助金と節エネルギー

ドイツの連邦内閣は先日、住宅における節エネルギー改装に対する補助金プログラムを実施することを決定しました。2013年から2020年の間に、年間3億ユーロ、総計24億ユーロの補助が行われる予定です。

 

環境大国で知られるドイツにとって、環境に優しい住宅は長年の課題でした。古い建築物をそのまま使用するドイツでは、昔からある建物に断熱材を施工するなど、節エネ仕様に改装することは経済的に難しかったのです。そこで政府が改装費を助成することにより、エネルギーの節約に繋がる住宅への改装が積極的に行われるよう図ったのです。

 

節エネ住宅改築補助金プログラムは、早ければ来年の1月には開始します。加えてドイツ復興金融公庫(KfW)では、節エネ改装を行う顧客に対する貸付金の利子を引き下げることになっており、そのための来年度予算が15億ユーロ組まれています。

 

これまでにも補助金プログラムが実施されてはいましたが、これまで3750ユーロだった上限が5000ユーロにまで引き上げられることになります。これにより個々の改装費の10%が援助されることとなるのです。また省エネ住宅に対しては、25%まで、上限18.750ユーロの助成金が与えられることになるそうです。

 

現在ドイツ国内のエネルギーの40%弱は、暖房、ボイラー、照明などに使用されています。住宅改装によって、断熱材の施工などによって消費エネルギーを削減することができれば、省エネルギーだけではなく、二酸化炭素削減と地球温暖化防止に貢献することが見込まれています。

 

参考資料
“Wärmedämmung – Hausbesitzer erhalten 5000 Euro für Sanierung“ Welt紙、2012年12月19日掲載

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2012 年12 月20 日 細菌類は知られざる殺人鬼

国際医療専門誌「Science Translational Medicine」(doi: 10.1126/scitranslmed.300440)に、細菌の脅威を警告する記事が掲載されました。世界中で約17億の人々が細菌に感染したことがあり、年間約150万人が結核やマラリアといった細菌を原因とする病気で死亡しているのだそうです。

 

世界中で今まで細菌に感染した経験のある人々は約17億、いずれも皮膚に感染するもので、治療も難しいものではありません。大多数を占めるのが白癬菌で、これは水虫などの原因となる細菌ですが、5人に1人の大人が白癬菌に感染したことがあるそうです。また10人に1人は爪白癬(爪水虫)に感染したことがありますが、この割合は70歳以上に限定すると2人に1人と急増します。

 

妙齢の女性に多いのは、陰部の感染。50~75%の女性が少なくとも1度は膣内粘膜に細菌が感染したことがあり、約7500万人の女性が一年に4度はそうした感染を受けているとのこと。

 

しかし皮膚感染ではなく、体内に細菌が侵入した場合、病状は深刻になり、医師の診断すらも難しくなります。抗菌薬の存在にも関わらず、体内感染型細菌による死亡率は50%を超えています。うち90%の死亡原因は、以下の4つの細菌です:レンザ球菌、カンジダ、コウジカビ、ニューモンチス。

 

レンザ球菌に感染するのは年間100万人以上で、地域によって異なりますが20~70%の人々が死亡しています。また40万人以上のニューモンチス肺炎の感染者のうち、死亡率は20~80%です。カンジダの感染者は40万人以上、死亡率46~75%。アスペルギルス症の原因となるコウジカビには年間20万人以上が感染し、30~95%が死亡しています。

 

人間には元々自然治癒力が備わっており、細菌に対しても強い免疫性を持っています。しかし150万人もの人々が細菌によって死亡するのには、免疫力の低下が原因とされています。HIVすなわちエイズの世界的流行、医薬の大量摂取などによって人間の持つ免疫システムが抑えられてしまっているだと推測されています。

 

こうした現状にも関わらず、世界保健機関(WHO)も各国保健機関も最近に対しての対策を講じていません。アメリカとイギリスでは、公的予算の1.4~2.5%を細菌研究に投入しています。

 

参考資料
“Hohe Sterblichkeit – Pilzinfektionen sind ein unterschätzter Killer“, Die Welt紙、2012年12月19日掲載
“Studie – Pilze tönen bis zu 1,5 Millionen Menschen pro Jahr“, Spiegel誌、2012年12月19日掲載

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2012 年12 月15 日 バイエルン州携帯基地局設置反対運動

現代の生活において、電磁波の影響を完全に避けて生活することはほぼ不可能に近いものです。自宅には電化製品が溢れ、無線WLANが飛び交い、外を出ると誰もが何の疑問もなく携帯電話を使用しています。こうした無線通信機の需要が高まるほどに、通信基地局が多く設置されていくのです。何気なく町中を歩くだけで、基地局は簡単に見つかります。その存在を知っている人が少ないのは非常に残念なことですが……。

 

RIMG0642.JPG

 

写真は、広島県内で撮影されたものです。住宅街の中心に、3本の基地局が密集して立っています。これは決して珍しい現象ではありませんが、問題は基地局の周辺の住民が電磁波の悪影響を受けることにあります。電磁波による健康被害は、頭痛、集中力の低下、関節痛、動悸、睡眠障害、顔のほてりなどが挙げられます。更に電磁波の被曝値が高いと、白血病や痴呆症、ガンなどの発症につながることも各国の研究者によって発表されています。こうした電磁波に起因する症状を電磁波過敏症といい、日本国内にも電磁波過敏症に苦しんでいる人は多くいます。スウェーデンなどでは病気として認定された上、公的保険の対象となっています。

 

有害物質に繰り返し曝されていても、私たちが普段その悪影響を認識することはあまりありません。それは悪影響を受けていないと信じているだけで、人の身体にはそれを許容できる限界値があります。その限界は個々人によって異なりますが、日々蓄積された被曝量が限界を超えると、急激に有害物質に対する症状が現れ始めるのです。当然のことながら、大人よりも子供の方が限界値はずっと低いです。幼くなればなるほど、電磁波など有害物質に対する耐性が少ないといえます。

 

もしも、お子様が通う幼稚園の近くに基地局が建つことになったら、どうしますか?

 

実際、その問題がドイツで発生していたのです。南ドイツのバイエルン州にある町Zornedingに、大手携帯会社が基地局を建設することを地元の銀行と契約しました。基地局建設予定地は、個人の住宅の上、保育所から200メートルも離れていない場所でした。

 

契約内容を知り戦慄したのは、当該の保育所に子供を通わせる両親たちでした。彼らは当地に暮らすRainer Förderreuther教授に助けを求めました。Förderreuther氏は早速行動に出ました。まず携帯会社のデータ保護で4年間代理人を務めていたRenate Schmidt元家庭省大臣に一筆したためます。携帯会社が社会的責任を何も話さず、子供たちの身を危険に晒している、と。さらに保育所と交流のある地元の鳥類保護連盟の会員550名に、問題の携帯会社との個人契約を取り消すように呼びかけました。更に携帯会社と契約を結んだ銀行に対して100人の会員が口座取り消しを示唆するなど、Förderreuther教授に協力の姿勢を示したのです。こうした運動が実を結び、銀行側は携帯会社との10年契約を延長しないことを決定したのです。(携帯会社側は、この決定とFörderreuther氏の運動の影響を否定しています)

 

Rainer Förderreuther教授は、今後携帯会社、町代表、保育園代表が話し合いを行い、基地局の新たな接地箇所を決定することを希望しています。しかし町長や町議会が全員一致で反対を表明しているため、話し合いは難航しているとのこと。現在有効の契約は取り消すことはできませんが、契約満了までに全員が納得できる設置個所を決定しない限りは、契約の延長はありえないそうです。

 

一方で、新たに設置された基地局を歓迎する人もいます。基地局の真下に住むGünter Aneder氏も、その一人。基地局の設置によって、携帯電話の送受信がよりスムーズになったと話すAneder氏は、反対運動を起こす両親に対して「まずは自分たちがもつ携帯電話を全て捨て去るべきだ」と批判しています。Renate Schmidt氏も、Förderreuther氏への返事の中で「全員が納得のできる設置場所なんて存在しないのは、経験から明らかです。我々が通信機器の使用を望む限り、それに必要な設備をほんの少し甘受するしかありません」とコメントしています。

 

一見、Aneder氏やSchmidt氏の論は筋が通っています。しかし、たくさんの人々が現代の生活を謳歌するために、少数が苦しむことを甘受する。そんな理屈が通って良いものでしょうか? 現代世界中で広く使用されている通信機器を捨て去ることは不可能かもしれません。しかし我々一人ひとりが、その危険性を認識しなくてはなりません。また建築業には、人間が一日の大半を過ごす生活空間で受ける電磁波の影響を少しでも減らすことのできる家造りをすることが求められているのではないでしょうか。

 

参考資料
„Widerstand gegen Mobilfunk in Pöring - Fachfremdes Engagement“ von Carolin Fries, Süddeutsche Zeitung, 2012年12月14日

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2012 年12 月12 日 痴呆・アルツハイマーを考えた家造り

高齢化が進む中で、痴呆症やアルツハイマーは社会問題となりつつあります。将来的に痴呆症により介護を必要とする人々の数はさらに増大することでしょう。そうした社会の動きの中で、建築業界は痴呆症に苦しむ人々の生活を支える家造りを考えていかなくてはなりません。

 

高齢化は日本だけではなく、ドイツをはじめとする先進国に共通している社会問題です。ドイツのドレスデン工科大学のGesine Marquardt氏率いる研究チーム「人口統計学的変遷における建築」は、こうした社会の変化に対応した家造りを課題として取り組んでいます。

 

ドイツをはじめとする欧州の国では、家を建てるということは一生涯そこに住み続けることを意味します。ともすれば一世代に限らず、両親から子、子から孫へと一つの家が受け継がれ、百年以上にわたって一軒の家が数世代の家族に愛されます。欧州を旅する者ならば誰でも、長い歴史の刻まれた街並みに感動を覚えます。日本では家は一世帯だけのもの、所有者が変われば建物を壊して新築するのが普通でしたが、近年では徐々に欧米を見本にした百年住める家造りが求められるようになってきています。もちろん、それを実現するには強固な耐震構造が必要不可欠ではあります。

 

しかし、欧州での古い家造りをみてみますと、数百年前の、まだ認知症やアルツハイマーが深刻な社会問題となっていなかった時代の建築です。それらの患者を考慮しているとはお世辞にもいえない建物構造となっています。一方新築にしても、それらを建てるのは若い世代がほとんどです。若い世代は、老人の存在を知ってはいても、やがては自分も老いることを忘れてしまいがち。まさか将来的に認知症や体の衰えに苦しむことになるとは予想だにせず、客用のトイレを1階に、家族用のトイレを2階に配置した家を造ってしまいます。

 

Marquardt氏は、このような従来の家構造を見直し、若きから老いまで一生涯快適に暮らすことのできる家構造が求められていると言います。年老いてから家を建て直すのはナンセンス。長年慣れ親しんだ家構造から新しいものに変わったとき、それに簡単に順応できるほど老人の脳は柔軟ではありません。痴呆の症状によって個人差はありますが、たとえば手すりの設置、LEDの床照明、夜に浴室を照らすことによって、トイレやその他居住空間の位置を簡単に見つけられるようにサポートすることができます。また色やシンボルを特定の場所に配置することも、大きな効果が期待できるでしょう。

 

もちろん、こうした住宅を達成するにはコストがかかります。スイスの研究によれば、痴呆症や認知症の老人をサポートする家造りには2~3%のコスト上昇が余儀なくされるとのこと。

 

しかし、痴呆症・認知症をサポートする建築は、住宅建設の問題に留まりません。病院や老人ホームでの建物構造でも、同様の支援が求められているといいます。例えば、廊下を一直線に設計すること。死角にあるものを認知することは、認知症に限らず老人には困難です。廊下を二度、どこでどのように曲がらなくてはならないのかを想像することは不可能に近いのです。
老人ホームやそうした共同生活空間で暮らすことは、認知症の患者にとっても良いことだといえます。一人で世間から隔絶されて暮らすよりも、他者と交流することで、痴呆の症状が軽減することもあり得ます。
だからこそ、老人ホームなどの建築を向上させることは非常に重要だといえるのです。

 

このブログ記事は、2012年12月11日Welt紙掲載の記事„Wie gute Architektur bei Alzheimer helfen kann“の概要です。超高齢化社会を迎えるにあたり、老人たちの暮らしを支える住宅造りというテーマは日独共通の課題となることは間違いありません。しかし記事にあるLEDの床照明については、我々IBN研究所としては素直に頷くことができません。LEDに代わる電磁波の影響の少ない照明を使用することが出来れば、これ以上に望ましいことはないでしょう。

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2012 年12 月10 日 ローマ最高裁判所判決結果

10月25日のブログ記事では、延岡裁判における「電磁波健康被害」に対する原告の住民側の請求棄却(敗訴)と経済・政治体質について言及いたしました。裁判所は住民の健康被害の存在を認めながらも「電磁波と健康被害との立証は不十分だ」として請求を棄却したのは、日本の企業活動優先主義を象徴しているものと解釈することが可能です。

 

一方で、電磁波の健康被害について欧州や国際社会はどのように見ているのでしょう。

 

2012年10月18日、イタリアの最高裁判所で携帯電話と脳腫瘍との関連性について判決が下されました。事の起こりは2002年、イノセンゾ・マルコリーニの三叉神経にできた良性腫瘍の発見でした。幸いにも腫瘍は問題なく取り除くことができましたが、マルコリーニはイタリア労働保険省(INAIL)を提訴、「12年間1日に6時間も無線電話と携帯電話を仕事に使用しなければならず、それが脳腫瘍の原因となったから」だと主張し、賠償を求めたのです。裁判官はマルコリーニの主張を認め、原告は補償を受け取ることになりました。もっともこの判決結果は、「職業的でない、通常の携帯電話の使用」とは一線を画すものとしておりますが。

 

裁判官がこの判決を下すのに参考としたのが、スウェーデンにあるエレブロ大学病院勤務の疫学者レナート・ハーデル氏の研究でした。ハーデル氏は何年にもわたって、携帯電話の多用によって脳腫瘍のリスクが高まると発表していたのです。年間で脳腫瘍の診断を受けるのは10万人に5人の割合だと言われています。しかしハーデル氏によれば、携帯電話の使用によって、このリスクは2倍から3倍にもなるのだというのです。

 

ローマの裁判官は、このハーデル氏の研究をもって原告に勝訴の判決を下しました。もちろん、携帯電話と脳腫瘍の因果関係を否定する研究も裁判に提出されていました。しかし裁判官は、これらの研究が工業主義的だと批判、研究者たちが携帯電話産業から多額の支援金を受け取っているとしたのです。それに対して、ハーデル氏の研究は産業界との癒着がないために、信頼に足るとみなされたということでした。

 

携帯電話の放出する電磁波の危険性に関しては、国際社会で様々な議論と対立を巻き起こしています。

 

世界保健機関(WHO)の外部組織、国際がん研究機関は、2011年春に携帯電話の放射能を「発がん性の恐れあり」としてグループ2Bに分類しました。グループ2Bには他に、DDT(有機塩素系農薬)、鉛、排気ガスが分類されています。これは、ハーデル氏の研究内容だけではなく、それに対立する13か国の研究者から成る「インターフォン研究」の結果も加味した結果でした。インターフォン研究の結果によると、携帯電話の多用によってガンのリスクが若干高まるというのです。携帯電話を一年中使用した場合、神経膠腫のリスクは約40%、聴神経にできる前庭神経鞘腫のリスクは180%上昇する、と。

 

こうした動きがある一方で、携帯電話による健康被害を否定する声もあります。とりわけマルコリーニ氏の判決以来、そのキャンペーンは強まる傾向にあります。その中心にいるのはドイツ放射線予防委員会に所属するアレキサンダー・レルヒル氏であり、ハーデル氏の信用を落とすべく批判を繰り返しています。
 

 

欧州でも電磁波による健康被害を巡る議論は始まったばかりです。しかしローマでの判決結果によって、電磁波に対する市民の危機意識が高まることを願って止みません。

 

マルコリーニ氏の一件は、ヨーロッパ全体を巻き込む事件として各国マスコミに取り上げられました。翻って日本では、ほとんど報道されておりません。一人でも多くの日本人にこの裁判判決を知ってもらいたく、今回のブログテーマとさせていただきました。

 

参考資料
“Krebsforschung und Mobilfunk - Handy am Hirn” von Christopher Schrader am 24.11.2012, Süddetusche Zeitungより
„Vom Elend des deutschen Strahlenschutzes“, Diagnose Funkより

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2012 年10 月25 日 延岡裁判 これは日本の現状を映す氷山の一角

延岡裁判での「電磁波健康被害」に対する原告の住民側の請求棄却(敗訴)は、この国の様々な体質を映し出していると言えます。論点だけみると高周波電磁波の放射に苦しむ住民とぜったいに電磁波の健康被害など認めようとしない携帯電話会社の対立ですが、このような裁判の大半がほとんど企業側に軍配が上がるのは、まさにこの国の企業活動優先主義を伺わせるものです。かつては液晶テレビやパネルで権勢を誇った大手家電メーカーのS社が置かれている状況からも分かるように、日本の家電製造を中心とした従来型製造業はまさに今大きな転換点に立たされており、それに対する具体的な打開策を持たないこの国は、その企業活動が結果的に住民にどれほどの健康リスクを与える可能性があるかどうかは二の次で、とりあえず今この時に収益をもたらすものに固執して死守しようとする傾向が非常に強いのではないかと考えられます。そうなると携帯電話という今や誰にとっても必要不可欠(これに関しては議論の余地がありますが)な通信手段は、新たな通信機器の製造を促すばかりでなく日々の膨大な通信料など日本の業界の中でも常に牽引型の産業と言うことができ、企業はもちろんのこと税金を豊富に落としてくれる旺盛な産業界に対しては政府でさえも公正な対処が出来難くなっていると言えます。この牙城を切り崩すことは非常に難しいのです。まずは携帯や無線波通信の利用者一人一人が、自分の何気ない当たり前と思っている行為が巡り巡ってある特定の人々の健康やあるいは自分自身の健康をも害している可能性が十分にあることに気付くことが重要でしょう。私たちが無意識の内に別の誰かを不幸に追いやることに加担していることはよくあることです。また企業側は考えられ得る電磁波の影響を認め、その上で人体への影響の少ないインフラへの転換に新しいビジネスの活路を見出す努力が必要でしょう。そして政府は水俣病などに代表される公害病の歴史の反省点を活かして、2歩先3歩先を見据えながらそれによる被害者を出さないという強い意志を持って多くの声なき声に耳を傾けるべきでしょう。 石原東京都知事が知事を辞め国政に出ると宣言しました。彼も含めてこの国の名のある政治家の中には、人間の健康と福祉、次世代に残すための地球環境の保全、林業や農業の再生による地域経済の復興とそれによる森や海の活性化などを訴える政治家はほとんどいません。より広い視野でこの先の長い人類の営みとそれを支える地球環境の未来を見据えて奮起する指導者が現れて欲しいものです。

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2012 年10 月19 日 講演会「本当に健康になれる住まい」

来たる1216日(日)の13301530、広島のホテルニューヒロデンにて、「本当に健康になれる住まい」と題して、ウッドバリュー株式会社の正木則久氏に講演して頂きます。「健康的になれる住まい」という曖昧な表現ではなく、「本当に健康になれる住まい」の鍵として正木氏にお話し頂くのは、独自の乾燥法にて作り上げた輻射熱式乾燥木材「バリューウッド」についてです。正木氏が長年取り組んでようやく完成させたこの木材は、その乾燥法によりVOC(揮発性有機化合物)の発生が大幅に低減されており、また丸太が乾燥後もほとんど反り返らないためにそこから無駄なく材木を切りだすことが出来るのです。その他、材木流通においても合理化を図ることにより更に無駄を省き、外材に押されて衰退した国内の林業の再生を実現して行くことも大きな目的のひとつです。住む人の健康を促進し、日本の森と地域経済の健康をも促進させるための大切なプロジェクトです。講演会への皆様のおいでをお待ちしております。お問合せは 082-890-1023住環境測定協会まで。

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2012 年10 月18 日 延岡電磁波健康被害の裁判結果 

宮崎県延岡市の住人による携帯基地局の運用差し止めを求めた裁判の結果が昨日出されました。残念ながら原告の住民側の敗訴。裁判所は住民の健康被害の存在を認めながらも「電磁波と健康被害との立証は不十分だ」として請求を棄却しました。10月18日付の中国新聞の記事によると裁判長が住民について「反対運動などを通じて健康被害を意識したり、症状への意識が主観的に増幅されたりした可能性がある」と判断したそうです。電磁波と健康被害との関連を科学的に立証することは、体内に電磁波の欠片でも残っていない限り非常に困難(これはそもそも不可能)であるのに、その証拠が見つからない限りはどんどん基地局による被害者が増えて行くことになるでしょう。生身の人間の体感がまったく尊重されていない判決結果であり、基地局による被害者はいつまでも決して報われることがないのでは、と暗澹たる気持ちになりました。映画「フルシグナル」の中で、ジャーナリストのブレイク・レヴィット氏が電磁波過敏症患者のことを「炭鉱のカナリア」と述べ、同作品の中でオーレ・ヨハンソン教授も、彼らのことを非常に繊細なセンサーをもった謂わばエリートだと述べています。私たちに代わって、体を張って危険信号を出してくれている存在の主張を受けとめる側にも、同様の繊細なる感受性と高い問題意識が求められると強く感じました。

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2012 年10 月17 日 「いのちの林檎」 お蔵出し映画祭 グランプリ受賞!

一昨日、ドキュメンタリー映画「いのちの林檎」を撮られた藤澤監督、馬場プロデューサーが広島の当協会本部まで立ち寄って下さいました。というのも尾道と福山で開催されたお蔵出し映画祭という催しで、同作品が見事コンペ部門のグランプリを受賞したからでした。翌日の中国新聞朝刊にも大きく授賞式の模様を写真付で掲載されており、これからますますこの作品に対する評価と関心が上がって行くものと期待を寄せています。お二人の話では、ここ広島もとくにこうした社会的なテーマを取り扱った映画が盛んに上映される土地柄であり、問題意識が非常に高い地域とのことでした。そのようなこともあって、今回のお蔵出し映画際でのグランプリ受賞につながったのではないかと考えています。そういえば広島では「食と農」の映画際という催しがここ数年開催されていたり、市内の映画館も社会に問う作品ばかりを上映しているところも多くあります。それは広島という街が抱える歴史がそのような高い意識を産み出しているのかも知れません。東京や大阪と言った大都市での公開も高い宣伝効果を期待できるという点で重要ですが、草の根レベルで市民の心の中に深く意識の浸透を図るという点においては、広島をはじめとする地方での地道な上映も同様に大きな意味があるに違いありません。

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